はじめまして!坂井正宙と申します。
私はもともとは、病院勤務の理学療法士でしたが、今は病院勤務を辞めて整体院を経営しています。

最近は開業志望の療法士もちらほらいるようですが、実際に開業まで踏み切るのは、ごく少数です。先日、病院に勤務している元同僚と話をする機会がありました。そこで同僚から、

 

「整体ならやりたいことができて楽しそうだな、職場に縛られずに仕事ができるなんて羨ましいよ」

と言われました。きっと病院や施設に勤務している理学療法士からしたら、こんな風に見えるのでしょう。私も病院勤務時代にはそう思っていたので、よく分かりますが、

 

「整体院を1人で経営するということは、そんなに単純なことではありません」

整体院の経営では、病院勤務の時には意識すらしなかった、集客や事務仕事、事業の展開の仕方まで様々なことを考えなければなりません。そこで、今回は(整体院経営を)始めてから後悔しないために、整体院経営に必要な役割についてお伝えします。開業しようと思っている方も、どうしようか迷っている方も、この記事を読んで、改めて考えてみて下さい。


整体院経営の実情

整体院経営_01

ちなみにですが、私は2015年3月から整体院をオープンしていますので、まだ1年も経っていません。今では、毎月、病院勤務の倍ほどの手取り所得がありますので、それなりに上手くいっている方だと思います。整体院経営は、本当にピンキリで、同じ元理学療法士の人で整体をされている人でも月に100万円以上売り上げる人もいれば、オープンして数カ月でお店をたたんだ人もいます。

 

「毎月100万円以上売り上げる人は一握りで、辞めていった人の方が多い」

これが整体院経営の実情です。現在、私は生活するには問題ない所得を得ることができていますが、そんな私でも辞めていった人たちの気持ちはよく分かります。その理由は、

 

「整体と言うのは、”死なない程度にはやっていける”職業だとわかったからです」

つまり、何とか生活していける稼ぎは得られるということです。整体は、最低限、部屋と治療台さえあればやっていけるような、経費があまりかからない業種です。そのため、街にある整体院は沢山あっても潰れず、細々とやっていけるのです。

 

 

理学療法士が整体院経営を続けるか

ご説明の通り、整体院経営には、何とか生活していける稼ぎは得られるような仕事である、という側面があります。これを、理学療法士が続けることができるのでしょうか。答えは、

 

理学療法士がこれを続けるかと言うと、続けません」

理学療法士の資格があれば、最低限、月に20万円ぐらいの手取りを貰えて、それなりに社会的地位がある仕事に就くことができるためです。その上、病院勤務に至っては、管理職でない限り、セラピストとしての役割と、カルテなどの書類作成の事務的な仕事ができれば仕事を回せます。ですが、整体院経営となるとセラピスト、事務仕事に加えて営業の仕事(集客)、社長としての仕事が加わります。

 

つまり、理学療法士が整体院を経営するに当たっては、

「セラピストの役割以外の役割(社長、営業、事務)を務める必要があり、大変なんです」

 

 

病院勤務と整体院経営との決定的な違い

病院には、治療におけるリーダーとしての役割を担う(ことが多い)医師が在籍しているため、患者さんから何か聞かれても返答に困れば「主治医の先生に聞いて下さい」とごまかすこともできます。治療結果に関しても手術の出来や投薬の関係、病棟の協力度合いなど様々な要因に左右されるため、担当の患者さんが良くならなかったとしても、個人的に反省するくらいで、懲罰も基本的にありません。

 

「ところが整体院ではそうはいきません

例えば、腰痛の患者さんが来て、整体を施し良くならなければ、それは100%整体師の責任となります。患者さんによっては、

 

「治ってないんだからお金は払わない」

と言われる可能性だって当然あります。病院では患者さんと万一何かトラブルになっても、病院全体でバックアップしてくれ、セラピストと患者さんの間だけで解決させるなんてことはまずありませんが、

 

「整体院ではこういった時のトラブルにも自分1人で対応しなければなりません」

病院勤務と、整体院経営の決定的な違いは、こういったトラブル対処等の責任を取る仕事の有無にあります。

 

 

整体院経営に必要な4つの役割

それでは、整体院経営で特に重要な2つの役割(営業、社長)について、ご説明します。(セラピストと、事務の役割は想像できると思いますので、割愛します)

 

営業の役割

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営業の役割、整体院では集客の仕事が該当します。

 

「整体を始めて半年ぐらいやっていたら、徐々に口コミで広まって、少しずつ軌道に乗るだろうな~」

なんて考えるのは甘々です。こんなことを考えていたら、まず潰れます。実は、私も開業する半年ぐらい前までは、こんな風に考えていましたので、こう考えてしまう気持ちはよく分かります。しかし、

 

「よほど運が良いか、技術がずば抜けているか、でない限り、勝手に軌道に乗ることは殆どないはずです

お客さんを整体院に連れてきて、治療台に寝かせるところまでがいかに難しいか、そしてそのお客さんにリピートして貰うのがいかに難しいか、ということは経験してみないと分かりません。経験しないと分からないなんて言うと、元も子もないですが、実際かなり大変な作業です。

 

実は、集客の方法もリピートを取る方法も「コツ」があるのですが、その「コツ」も今日勉強して明日身に付くものではありません。これらは少なくとも開業の半年前から勉強して「実践する」ことが大切です。どんな勉強も実践なくしては意味がありません。病院に勤務しながら実践したいのなら、週末開業をしてみるのも1つの手です(ちゃんと職場の許可は取ってくださいね)。

 

 

社長の役割

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整体院経営では、今月は売り上げがイマイチだからチラシの量を増やそうとか、利益を増やすためには値上げが必要だとか、そんなことも考えなければなりません。セラピストとして患者さんには向き合いつつも、社長として整体院の舵取りもしなければならないのです。

 

「社長業というのは臨機応変さが命です」

月末に近づき、売り上げ目標に20万円足りなかったら、何とかして20万円増やす方法を考えなければなりません。何かキャンペーンをうつか、アップセルといって上級のコースを買って貰うか、あるいは他の方法を取るか・・・。例えばですが、

 

「あなたは毎月広告費に30万円を使えますか?」

もし30万円の広告費を使って、そこから利益が出るのであれば、即支払うべきです。ですが「普通の人」はビビりますよね。病院勤務時の1ヶ月分の給料よりも多い額をポーンっと支払うことには躊躇うと思います。

 

「ここで支払えなければ社長としては不向き、としか言えないです」

整体院経営には、先行投資が大切なのです。ギャンブルではダメですが、回収する道筋がイメージできるのであれば、迷わずお金を出せるようでないと売り上げは伸びていかないでしょう。整体院を1人で経営するということは、こういう決断を行う仕事もするということです。

 

 

整体院を経営する上でのメリット

整体院経営は、冒頭で病院勤務の元同僚が言ったような「職場に縛られずに仕事ができるなんて羨ましいよ」なんて世界ではないことはご理解頂けたかと思います。しかし一方で、

 

「自分で何でも決められるという側面があることは確かです」

例えば、「来月のこの日は連休を取って家族旅行に行こう」ということを勝手に決めることも可能です。また、サラリーマンと違って「今月は手取り額を10万円増やすぞ」と思って、頑張って仕事をすれば実現させることもできます。サラリーマンでは、どんなに頑張ってもすぐには昇給しないですからね。

 

「やればやっただけ稼げることも事実です」

治療に関しても責任が大きい分、患者さんが良くなったりすればその喜びも大きいです。こんな風に良い面があることも確かです。

 

「何事もそうですが、やる前と言うのは希望に満ちていて、良い面ばかりを想像してしまいがちですが、そこを一旦、冷静になって総合的に考えてどうか?ということをしっかり見つめ直すべきです。」

 

 

まとめ

整体院経営に必要な役割についてお伝えしてきました。

1人で整体を経営すると社長、営業、事務、セラピストとしての役割を全てこなさなければなりません。私が整体院を経営して一番感じたことは、「組織」のありがたさです。

上司から命令されてやるのは気に食わなかったり、何で自分が・・・何てことを考えることもありましたが、それも全体で上手くやっていくために必要なことだったと今では感じます。

 

「やはり経験は人を成長させてくれます」

この話を聞いて、「そんなことは分かっている」といくら言ったところで、実際にその立場に立った人の気持ちは分かりようがないのです。障害者の気持ちをセラピストがいくら分かろうとしても分からないように、経営者の気持ちはサラリーマンがいくら分かろうとしても分かるものではありません。そういった意味で、

 

「一度そのような立場を経験するというのもひとつの人生経験としてはアリなんじゃないか」

と私は思います。週末開業でも何でも良いと思います。いつか年をとって「あの時やっておけば」と後悔するくらいなら挑戦して失敗した方が良いんじゃないでしょうか。

 

いざ始めるのであれば大胆に行動して、ただし始める前は慎重に冷静に考えて下さい(家族と相談するのも大切です。一番協力してくれるのも、一番足を引っ張るのも家族です)。この記事がその助けになれば幸いです。

 

 

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