こんにちは、理学療法士の喜多一馬です。
今回は、前回にご紹介しました自己効力感と同じくらい、ポピュラーなやる気理論である「内発的動機付け」についてご紹介します。

 

外発的動機付けとは

内発的動機付_01

まず、「”内”発的動機付け」と対にある「外発的動機付け」についてご紹介します。その昔、人のやる気は「お金」「食べ物」「名誉」のような「外的な報酬」によって生じると考えられていました。

「給料を沢山貰うために頑張るぞ!」
「おいしい物食べるために頑張るぞ!」
「偉くなりたいんだ!頑張るぞ!」

他にも、こんなものも含まれます。

「怒られたくないから、やるしかないなぁ…」
「試験に受かるように、頑張ろう!」

世間で「アメとムチ」という言葉があるように、アメを得るため、又はムチを避けるために頑張ることが外発的動機付けということです。

 

 

内発的動機付けとは

しかし、人のやる気は外発的動機付けだけでは説明出来ないことが明らかにされました。とある有名な実験があります。ソマ・パズルというゲームを3日間行わせ、その取り組み時間を比較したものです。

内発的動機付け_06

1日目
A・Bグループどちらに対しても、賞金はありません。

2日目
Aグループには、パズルが上手くできれば、小額の賞金を与えました。
Bグループには、賞金はありません。

3日目
Aグループには、賞金が無いことを伝えました。
Bグループには、変わらずパズルに取り組んで貰いました。

 

その結果、3日目のパズルへの取り組み時間はどうなったでしょうか・・・?そうです、皆様が予想される通りです。

 

Aグループの取り組み時間は、3日目が一番短くなりました。
Bグループの取り組み時間は、3日目が一番長くなりました。

 

ソマ・パズルは、本来面白いパズルゲーム(らしい)です。Aグループではパズルの面白さよりも、賞金に気持ちが向かってしまったため、賞金がないと分かった途端にやる気を失ってしまったのでしょう。一方、Bグループではやればやるほどパズルの面白さにハマってしまったのでしょう。

このように、人のやる気は外的な報酬だけでなく、「面白い」「楽しい」といった、「その活動自体から得られる、満足感」を求めるようなものがあります。これが内発的動機付けと呼ばれ、強力なやる気の源とされています。

 

 

患者様の動機付けはどうなっているの?

内発的動機付_03
入院している患者様が、面白くもないリハビリメニューを頑張っているのは、

「家に帰りたい!」
「歩けるようになりたい!」
「おいしいご飯が食べたい!」

こんな外的報酬による、強い外発的動機付けが作用していることが殆どです。むしろ内発的動機付けが高く、「リハビリって爽快!」何ていうような方は入院患者様では殆どいらっしゃいません。(たま~に見掛けますが、ちょっと不気味です。)

しかし、「結局、全部外発的動機付けだから、知っていても意味ない!」という訳ではありません。外発的動機付けの中でも、より内発的動機付けに近い状態になることが大切です。

「リハビリしないとセラピストに怒られる」
「リハビリしないと体が良くならない」
「リハビリして早く歩けるようになりたい」
「リハビリして体が良くなるのが嬉しい」

これらは、全て外発的動機付けですが、気持ちの持ち方には大きな差があります。そのため、セラピストは、より内発的動機付けに近い感覚になれるように関わることで、患者様のやる気を促すことが出来ます。

 

 

どうやって患者様のやる気を促すの?(次回予告)

内発的動機付けに近付けるためには、3つのポイントがあります。

1.自律性
2.有能感
3.関係性

この3つを考えながら、ちょっとした関わりが大切です。次回は、実際に患者様に関わる際のポイントを紹介したいと思います。

 

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