整体院を起業された方や、これから企業しようと考えている方は、みなさん夢や希望を抱いているでしょう。実際、起業している人はモチベーションや行動力が高い人ばかりです。その一方で、1年経たずに廃業する人がいるのも事実です。ここで、考えて欲しいことがあります。

 

「廃業した人たちは、やる気がなかったのでしょうか?」

 

そうではないと思います。夢を持って始めた人でも、直面する整体院経営の「現実」がそこにはあります。実際のところやってみないと分からないところが大きいのは事実ですが、やる前にもその「現実」を「想像」することはできます。

今回は整体院を経営するにあたって、知っておくべきことを「仕事時間」「責任」「モチベーション」の3つに分けてご紹介します。整体をやってみたいと考えている方は、まずは今回の記事を読んで、想像を膨らませてみて下さい。

 

仕事時間について

病院勤務をしていれば、始業時間が8時30分位で、17時半~18時位には終業になることが殆どでしょう。職場によって若干の差異はあれど、何か研究をしている人を除いて、家にまで仕事を持ち帰る人は理学療法士の業界では稀だと思います。

 

脳裏から離れない仕事の気分

ところが整体院経営では、病院勤務のようにはいきません。基本的に寝ている時以外、常に仕事をしている「気分」になります。「気分」と表現したのは、実働時間が終わっても気持ちは休まらず、常に仕事のことを考えているからです。

 

「”そんなのその人次第だ”と思われますか?」

 

私は整体以外の業種の社長さんとも繋がりがありますが、多くの社長さんは私の言っていることを理解してくれます。

つまり、整体院に限らず、経営をしている人は、皆こういった思いを抱えているのです。仕事が終わって、家族と食事をしていても、あるいは休みの日にショッピングに出かけていても、常に仕事のことが頭にあります。この状況を楽しめる人なら良いですが、苦痛に感じる人には耐え難いでしょう。

 

「頭の中に何が常にあるかと言うと、多くは”お金の心配”です。」

 

病院に勤務していれば、「今月は給料30万円だけど来月は10万円です」何てことはまずあり得ませんが、整体院含め自営業では十分に起こり得ることです。この不安は月に100万円以上稼ぐ整体師の方も口にしていました。私も生活に困らないくらいの売り上げは、半年以上稼ぎ続けているのにこの不安感は一向に消えません。一生食べていくに困らないくらいの貯金があれば別なのでしょうが、

 

「自営業をしている限り、この不安は常について回るものだと考えておいた方が良いです。」

 

 

施術だけに留まらない拘束時間

また整体院経営をしていると、実際の拘束時間も長くなります。

私は開業してから8ヶ月ほど経ちますが、「今日は1日何も仕事をしなくていい」という日は月に1、2日あるか無いかです。その1日フリーの日も実際には、「やることがあるけど、今日は休みにする」と決めて時間を確保して生み出したものです。

 

「そんなに何をするのか疑問に思われるでしょうか?」

 

私の整体院では、1日に最大9名の方をみます。1人1時間枠を取っていますので、施術だけでも最大9時間は働くことになります。その他、カルテ記載や電話対応、掃除、売り上げの確認など行っていると、その他の仕事は整体が休みの日に回ってしまうことが多いです。

休みの日には、

・数字の管理と集客媒体の選定
・チラシの発注
・新聞折り込みの依頼
・ホームページの広告設定・アクセス数などの確認
・お客様の声の更新
・集客用のブログ更新
・クーポン誌業者との打ち合わせ
・サンキューレターの送付
・ニュースレターの作成
・消耗品の購入
・各種支払い
・領収書の整理・帳簿の記入
・研修会参加

などなど行います。

私は忙しくて手が回らないので、ホームページ関係のことは業者さんに、帳簿のことは税理士さんにお任せしています。それでも休みの日にやることは盛り沢山です。仕事はいくらでも出てくるので、

 

「”今日は休む!”と決めない限り常に仕事があります。それが整体院経営です。」

 

 

責任について

整体院をやっていて本当にキツイのはここかもしれません。

忙しいのは、それだけ売り上げがあり、お客さんに求められている証拠ですから、むしろやりがいになるかもしれません。しかし、

 

「自費で施術を行うと、相応の責任が発生します。」

 

病院で保険を用いたリハビリを行っていても、もちろん責任は発生します。ただ自費でやると違うのは「整体にかけている人が来る」ということです。整体院経営は基本的に一度来てくれた人が、何度もリピートしてくれないと成り立ちません。ですが、しっかり通ってくれる人というのは、それだけ整体に期待をしています。だからこそ、1回5000円以上もする施術にお金を支払うのです。そういった方の中には深刻な悩みを抱えている人もいます。

 

「心身の不調から仕事を辞めようか悩んでいる人」
「夫婦関係が良くない人」
「手術しようかどうしようか迷っている人」
「親子関係で悩んでいる人」

などです。つまり、

 

「体のことはもちろん、心のことも様々な悩みを抱えている人も含まれるということです」

 

手術のことや人間関係のことなど、適当なことはもちろん言えません。しかし、

 

「お金を頂いている以上、1人1人にしっかり向き合う必要があります。」

 

向き合うということに、これが正しいという答えはありません。自分の考えに従って、誠心誠意向き合うしかないのです。

 

 

モチベーションについて

起業に向かって動き始めている人は、やる気に満ち満ちていて無尽蔵に仕事をこなしているでしょう。

そのモチベーションさえあれば、仕事がいくら忙しかろうが、どんなに責任を負おうが、どんどん前に進んでいけると思います。ですが、そのモチベーションがいつまでも続くとは思わない方が良いです。

整体院をやっていると様々なことが起こります。施術をしても体が良くなる人ばかりではありません。良くならなかった人を前にしたときの無力感や気まずさ、またシビアな世界ですから、効果が無いと思ったら無断キャンセルをする人もいます。無断キャンセルは、その人のモラルの問題もありますが、信頼関係を築けたと思っていた人から無断キャンセルされた時には、かなりダメージがあります。

 

「表現が正しいか分かりませんが、”裏切られた”ような気持ちになります。」

 

これは味わってみないと分からないと思いますが、何とも言えない辛い気持ちになります。またお客さん都合でのドタキャン返金要求など、自分の提供しているものに、はたして価値があるのだろうか、ということを嫌でも考えさせられることは多々あります。こういったことを気にせず、ガツガツ前に進んでいける人もいます。そのような人は社長業に向いていると思います。しかし、

 

「ナイーブな心を持っている人には辛いかもしれません。」

 

そういったことを経験していくと始める前に持っていたモチベーションも削られていきます。

 

 

気持ちを支えるのは理念やビジョン

整体の理想と現実_01

整体を続けられる人には特徴があります。それは、理念やビジョンを持っている人たちです。

・理念(=整体に来てくれた目の前の人をこうしてあげたい)
・ビジョン(=社会をこんな風に変えたいという想い)

 

「理念やビジョンを人生をかけて達成したいと思っている人たちは、仕事を続けることができています。」

 

こういった理念やビジョンを作るには、まずは「哲学」が必要です。あなたにとって、

・仕事とは何でしょうか?
・時間とは何でしょうか?
・お金とは?
・健康とは?
・家族とは?
・そして、人生とは何でしょうか?

 

そういった哲学をあらゆることに持つことによって、あなただけの理念やビジョンが生まれてきます。それがあれば辛い事にも耐えられるかもしれません。整体業に関わらず、起業しようと思っている人はまずはこのようなことから考えてみてはいかがでしょうか。

 

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