やる気理論を臨床に活かす:「期待価値理論」編

理学療法士の喜多一馬です。
今回は「期待価値理論」を紹介します。

 

期待価値理論

期待価値論_00

ある行動に対するやる気は、

『期待』‐目標達成の可能性
『価値』‐目標の魅力

この2つの兼ね合いによって決定するというものです。

『期待』とは…
「テストで合格する可能性は…五分五分だ!」
こんな具合に、自分で達成可能性を想定することです。

『価値』とは…
「テストで合格したら…理学療法士になれる!」
行動が成功することで、何が得られるかです。

『期待』が高くても、『価値』が無ければ、やる気は湧きません。
「絶対出来るけど、やっても意味ないし!」なんて気持ちの状態ですね。

また、『価値』が高くても、『期待』が無ければ、やる気は湧きません。
「出来たら良い事あるけど、絶対出来ないから!」なんて気持ちの状態ですね。

人のやる気には、『期待』『価値』どちらもバランスよく整うことが大切なのです。

 

 

臨床における『期待』

期待価値論_01

臨床において、患者様の期待が低い時はこんな気持ちです。

「この自主トレメニュー、難しそうだけど出来るかな」
「調理練習なんて初めて。片手で野菜を切れるかなぁ…」
このような場合、私達療法士がしっかりと声掛けをしましょう。

「今までの練習より簡単です、一人でも心配ないですよ!」
「片手で料理出来た患者様をたくさん見てきました、絶対大丈夫です!」
以前紹介した、自己効力感の高め方に似たような関わりをしてください。

自信が湧いてくれば、自ずと達成可能だと思えて、『期待』は高まります。

 

 

臨床における『価値』

期待価値論_02

実は、私達療法士は、『価値』について忘れがちです。

「この動作なら…ここが弱いはずだ!」
評価結果から、すぐに治療に移ってしまうこと、ないでしょうか?

「筋力ないから、歩けないのは当たり前でしょ~」
療法士にとっての当たり前を、患者様にとっても当たり前、にしてないでしょうか?

もし忘れてしまっている時には、一言心掛けてみてください。
「この筋トレをすれば、歩けるようになりますよ」
「歩行練習を頑張れば、家に帰れますよ」
このように、患者様が取り組むことでどんな姿になるか、しっかり伝えましょう。

「これを頑張ったら、こうなるんだ!」と患者様が、各メニューについて説明出来るくらいならば最高ですね!

 

実践でのワンポイント

期待価値論_03

『期待』は高ければ高いほど良いわけではありません。

「出来なさそうだけど、ちょっと頑張れば出来る!」
成功確率が70%~80%程度の難易度が一般的には望ましいと言われています。

しかし、これも人によりけりなんです。
人によっては「成功確率100%!」と思える課題でないと取り組めなかったりします。

また、何でも乗り越えられる人には、あえて成功確率10%くらいの課題を設定します。
「全然上手く出来ない!悔しい!」と、心に火を付けることでやる気を加速させることもあります。

一方、『価値』は高いほど有効です。
ポイントは、説明の方法です。
どれだけ説明しても、患者様が「価値がある!」と感じなければ、意味ありません。
また、価値があることを伝えようとするあまり、だらだらと喋ってしまい、面倒くさい療法士だと思われてもいけません。

ベテラン療法士は、患者様に少し触れただけで
「この先生…すごく上手!」と思わせることが出来ます。
(そんな療法士に早くなりたいですね!)

口ではなく、手で、
『この先生の治療なら、確実に良くなる!(=すごい価値!)』と、価値を感じてもらうのも一つの手段です。

 

 

「な~んだ、普通のことだな!」と思われる方も、
是非「期待価値理論」を知って、基本に立ち返ってくださいね!