理学療法士の転職準備:履歴書の書き方
キャリアPTの野坂です。12月のボーナスが近づいてきましたね。
ボーナスを貰ってから、又は年度を終えてから、転職しようと考えている方も多いのではないでしょうか。実は、私もそうでした。転職する意思を固めてからは、ボーナス支給日と有給残日数を計算し、退職届を出すといった流れでしたね。打算的で嫌らしいかもしれませんが、年俸制(月収=年収÷12ヵ月)でない限り、ボーナスがなければ、大幅な収入減になりますので、誰もがボーナスは貰いたいと思います。
さて、今回は「理学療法士の転職準備」と題し、履歴書の書き方についてご紹介します。もちろんですが、転職活動では、履歴書云々よりも、転職を考えるに至った経緯や動機を踏まえ、自分自身に合った職場を探す事が先決ですので、そこを理解した上で、ご覧頂ければと思います。経緯や動機が整理できなければ、ビジョンマップを作ってみる等、してみて下さいね。
この転職準備シリーズでは、採用担当者の視点から、履歴書や職務経歴書、退職手続き等といった内容についてご紹介し、年内に「転職キャリアアップマニュアルの決定版(仮称)」をリリース予定ですので、ご期待下さい。
目次
採用担当者が求める履歴書とは
一言でいうと、理学療法士の採用に当たっては「決裁が下りやすい履歴書」が求められています。
ご存知の通り、理学療法士が属する医療・介護・福祉業界は、売り手市場(*1)である状態です。そのため、採用担当者は、面接に来た理学療法士のマインド・人間性(*3)に問題がなく、条件が合致すれば、採用したいと考える場合が殆どです。(マインド・人間性が転職においては、一番重要だと考えますので、そこは別の記事でと説明します)その理由は、採用担当者に与えられる計数(*2)にあります。
多くの場合、採用担当者の計数は、「いついつ迄にPT(又はOT,ST)を✖✖名採用する」となっています。注目して頂きたいのは、そこにPTの知識・技術レベルの高低が盛り込まれていないということです。つまり、採用担当者の気持ちを極端に表現すると、こんな感じです。
「理学療法士の資格があれば採用です!」
ようは、知識・技術は二の次で、仮に(知識・技術が)満たなければ、入社/入職後に高めれば良いと考えているわけです。そのため、採用担当者は、自身の計数(✖✖人採用)達成のために、入社/入職見込者がいれば、
「社長!この人は、勤勉な性格なので、きっと長く勤めて貰えますよ!採用しましょう!」
「リハ科長!この人は、就業意欲旺盛なので、きっと良いセラピストになりますよ!採用しましょう!」
といった具合で、決裁者(採否を決定する人)に対して、採用するように決裁を求めるわけです。では、「決裁がおりやすい履歴書」がどのようなものかをざっくりとご説明します。
*1:求職者数よりも求人数が多く、求職者側が求人を選ぶことができる立場にある状態
*2:各担当者が役割に応じて達成しなければならない数値(理学療法士の場合は単位数の場合が多い)
*3:理学療法士としてどうなりたいか、社会人としてどのような価値を提供したいかといったその人の考え方
決裁が下りやすい履歴書とは
「長続きしそう」「(就業)意欲が高い」に限ります。以下の一般的な履歴書を参考例として、説明していきます。
長続きしそうと感じられる要素
職歴の勤続年数がみられます。(図①)
おおむね、3年以上の勤続年数が目安にされています。「一身上の都合(自身の都合での退職)」の回数が多すぎると、採用担当者が決裁者に決裁を求めても、
「この子、すぐ辞めちゃいそうだから、不採用」
となる可能性が高まります。志望動機や趣味については、「ものは言いよう」で何とかなりますが、職歴は嘘をつきません。3年未満での転職を考える場合は、それ相応の理由を説明できるように準備しましょう。(必要があれば、ご相談下さい)
意欲が高いと感じられる要素
履歴書(特に自由記述欄)の空欄の少なさです。(図②)
当たり前ですが、空欄が多いと、意欲が感じられません。履歴書のみを提出する場合は、空欄は作らないようにしましょう、たった1枚の紙に自分のことを表現するのみです。それが埋まらないようならば、
「この子、頭の中(志望動機)と人生(趣味・特技)が空っぽそうだから、不採用」
となる可能性が高くなります。
理学療法士だからこそ注意したいこと
上述のとおり、履歴書について簡単に説明しましたが、現状の売り手市場を鑑みると、
「履歴書に多少不備があろうが/なかろうが、採用に至るケースが多いです」
それどころか、理学療法士の場合は、知人紹介で、就職活動をする方が多いため、履歴書さえ不要な場合もあります。しかしながら、
「キャリアアップ(年収・ポストアップ)を達成できる転職は望めません」
というケースが殆どであることも事実です。
ご存知の通り、理学療法士の仕事は、医療・介護保険の制度に乗っ取っている場合が殆どですので、誰がリハビリを担当しても、取得できる点数・単位(売上)は同じです。そのため、一部の企業・病院・施設を除けば、採用側(求人側)は、人件費を抑えて、売上を向上させた(売上原価率を抑える)方が、理に適っているわけです。ようは、こういう事です。
「転職で、キャリアアップを目指すなら、それ相応の準備が必要です」
まとめ(次回予告)
・売り手市場にある理学療法士は、転職先を選ばなければ、採用に至るケースが多い。(但し、その理学療法士のマインド・人間性による)
・履歴書に不備があっても、「職歴欄」と「自由記入欄」を埋めておけば、採用となる可能性が高くなる。
・但し、転職でキャリアアップするためには、それ相応の準備が必要である。
以上のまとめを踏まえて、次回は「職務経歴書の書き方」をご紹介します。理学療法士で、「職務経歴書」を作成したことがある人の方が少ないと思いますが、キャリアアップ(年収・ポスト交渉)を目指すには、あった方がよいツールであることは間違えありません。
履歴書フォーマットダウンロード
まずは「履歴書を作成しよう!」という方は、以下リンクよりフォーマット(A3・A4版)をダウンロード(xls形式)できますので、ご利用下さい。