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アジアの理学療法士協会の歴史とその特徴について調べてみました。 近年、巷では「グローバル人材」とか、「国際化社会」とか騒がれていますが、日本の理学療法士は”超”ドメスティックな仕事。 でも、一流を目指すのならば、近隣諸国の理学療法士事情を知っておいても、良いのでは?  


 

日本の理学療法士協会

日本の理学療法士協会(Japanese Physical Therapy Association:以下JPTA)は、世界理学療法連盟(World Confederation for Physical Therapy:以下WCPT)に所属し、各大陸の連盟、日本の場合は、アジア理学療法連盟(Asian Confederation for Physical Therapy:以下ACPT)に所属しています。

JPTAは1966年に発足し、今年で50年目を迎えます。イギリスの1894年(同協会の前身となる協会の発足)や、アメリカの1921年(APTA発足)と比較すると、日本は歴史が浅いですね。日本が所属するACPTは、1980年の発足ですので、欧米諸国から半世紀以上遅れています。現在、ACPTは、日本と台湾の協会が主導となり、日本・台湾・韓国・タイ・フィリピン・インドネシアの6か国が参加して、活動しているようです。

アジア理学療法連盟(ACPT)の加盟国の協会の設立年度、会員数、養成校の数を以下の表にまとめてみました。(インドネシアを除く)国によって調査年度(2010年~2015年)が異なるため、概ねの数値と解釈下さい。アジアでは日本が最も規模が大きいことがわかりますね。

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アジア諸国の理学療法の歴史と特徴

それでは、韓国、台湾、タイ、フィリピンのそれぞれの国の理学療法の歴史と特徴をご紹介します。 テーマが真面目すぎるので、各国の名物料理と共に!(笑)  

 

~韓国(スンドゥブ!)~

韓国

1945年、第二次世界大戦後に米国陸軍病院に勤務していたGeneraldine Lindberg(米国籍)により、理学療法は紹介されました。その後、朝鮮戦争中(1950年開戦)で多くの国民が傷つき、米国以外からも理学療法士が訪れ、活動が活発化したそうです。理学療法士の教育システムが整備された後、1965年に韓国の協会は設立されました。

韓国では、日本の「理学療法」に相当するものとして「物理治療」という言葉が用いられています。韓国の法律での物理療法士の定義は、「温熱治療・電気治療・光線治療・水治療・機械および器具治療・マッサージ・機能練習・身体矯正運動および再活練習を行い、これらに必要な機器、薬物の使用や管理、その他の物理療法的な治療業務に従事する」と定められ、「再活」という言葉がリハビリテーションを意味しているようです。  

 

~台湾(台湾ラーメン!)~

台湾

1950年代、ポリオ(脊髄性小児麻痺)の流行によって身体障害を負った小児患者に対する理学療法の需要が高まったことをきっかけに発展したようです。しかし、1966年まで教育機関における理学療法士養成課程が存在しなかったため、米国の理学療法士がボランティアで看護師に理学療法教育を実施したとされています。

1967年より、国立台湾大学で台湾初の理学療法士を養成する教育が開始され、更なる知識や技術の習得を求める者は米国や日本へ留学し、本国へ戻り理学療法士のパイオニアとなり、台湾の理学療法士業界を牽引してきたようです。

 

~タイ(パッタイ!)~

タイ

1947年、シリラート病院の整形外科部門の一部として理学療法は始まり、1957年までは医師や看護師が海外へ留学してリハビリテーションを習得する形で発展しました。翌年より国内の医学科カリキュラムのリハビリテーションが導入されリハビリテーション医(以下:リハ医)の教育が始まり、1963年にはマヒドン大学にて理学療法士教育が開始されました。

タイの理学療法は、タイマッサージを理学療法に適正化して取り入れる働きがあるようです。 

 

~フィリピン(バナナ!)~

フィリピン

1949年、Philippine General Hospital放射線部の下に理学療法科が開設された事が発祥とされています。本国ではリハ医の教育課程は1971年開始されたため、リハビリテーションの教育は医者よりも理学療法士が長く築いてきたといえます。

フィリピンの理学療法士は、「本国で就労場所が少ない事」と「賃金が安価な事」を理由に、海外(サウジアラビア、アメリカ、カタール等)へ出稼ぎに行くものが多いと言われています。フィリピンの養成校では、毎年1,000人程度が卒業するようですが、会員数が541人と少ないのは、国内で活動する理学療法士が極端に少ないためです。  


以上、アジアの理学療法士事情についてまとめてみました。
日本では入手しづらい理学療法士の海外情報、情報不足ではありますが、悪しからず!
「もっと知ってるよ!」というあなた、キャリアPTのライターへ是非ご応募下さい!(笑)

 

(参考文献・HPリスト)
1:PTジャーナル「特集 アジアの理学療法 P365-401 2008年5月」
2:公益社団法人 日本理学療法士協会, http://www.japanpt.or.jp/upload/japanpt/obj/files/international/enquete_kor_1301232.pdf, (2015年8月20日)
3:Taiwan Physical Therapy Association, http://www.tpta.org.tw/EN/, (2015年8月20日)
4:KENJIのブログ, http://ameblo.jp/nolook7/entry-11524748503.html, (2015年8月20日)